れみ姐さんの小部屋

脳内垂れ流しております。

中途半端こそ

我が人生。ショートストーリーも書きっぱなし、ライブネタばれも書きっぱなし、ぜーーーーーーーーんぶ終われない癖に書いちゃう。回収できないなら最初から何にもやらなきゃいいのにね。あーやだやだ。

とはいえ、もう一人の自分は「ええやん別にやりたいようにやったら、誰に責められるわけでもありゃせんやろ」とも思っている節がある。態度エル。

 

段々と雨の降り方も梅雨の終わりらしく狐の嫁入りだったり、スコールだったり、夏の始まりを告げる。蝉も鳴き始めたしツバメも見掛けなくなってきた。陽射しも灼けるようになってきた。いいねえ、わくわくするねえ。でも歳の所為か身体がなかなかついていかない。しかし冬よりはマシ、個人的には。

 

さて今年の初夏は心にイチモツ抱えていて毎日心臓を抉られながら生きています。

去年の夏はそうでもなかったような気もする、一昨年はもっと抉られていた気もする。

若いころは、歳を取れば恋もセックスも自然とどうでもよくなって対象から外れていくものだと勝手に思っていたけれど、そういうわけでもないんだなあこれが。外れてくれれば楽なのになあ。楽になるには失えば早いんだろうけど、どうせなら失いたくないと思ってしまうのも歳の所為なのかもしれないし。なにかと面倒ね。

 

だけど、まあ、どうせだから、楽しくやっていかなきゃね。

火花

久方振りもいいところ、覗いてくださっている方々がもし仮にいらっしゃればお久しぶりです。こんばんわ。おはよう?
半年前に脳内に収まりきれないほど貪った芸術の嵐を溜め込んでいたので、ここのところずっと本も読まず、映画もDVDも見ておりませんでした。
が、半年経って漸く消化したのか、ここに来て少しばかり読んだり観たりしたいと思うようになり。
買いましたよ、ファンと公言しながらはや何ヶ月も購入を渋っていた芥川賞作家、又吉直樹先生の「火花」…否、そんな言い方致しません、わたしの直くんの小説「火花」。
まさかホントにやるとは、というのが率直な、そして一番ご本人が思ってることなんじゃないのかなぁと思います。頁も薄く、数時間あればさらさらっと読める物語でした。

感想を。

あ、因みに私、レビューにあらすじを書きたがる方の気持ちが未だに分かりません。読書感想文さながら。

端的に一言で言うと、普通。
普通なんだけど、つまらない普通さではなくて、完成された「普通」。きっとこのひとはもっともっと変な文章も書けるし、暗くて抽象的な話も書けるんだと思う。その中から敢えて、自分の最初として、普通を選び、徹底的に普通を作り上げた、導入編。たくさんたくさん本を読んできたから、たくさんたくさんネタを書いてきたから、このひとは空気を読んでこれを書いたんじゃないかな、と思う。そんな一冊。
中高生、もっというなら小学校高学年の読書感想文用でもいけるくらいわかりやすかった。よくある、人が死ぬこともなく、よくある、誰ぞセックスするでもなく。
ストイックさしかない小説。
でもとても人間臭い。

また違った又吉ワールドを次作では見せていただきたいな、と思っています。
何回でも読めそうだから、流れに逆らわず手元に一冊置いといても良いと思います。

お盆休みも明日まで。
哀しいかなどうやら雨模様になりそうです。

良い日曜日を。

閑話休題

最近は専ら、現実から逃げている。
っていうと聞こえ悪いな。でも、そうなんだと思う。
約二週間で、西加奈子さんのサラバ!上下巻、伊坂幸太郎さんのグラスホッパーを読み、るろうに剣心京都編、伝説の最期編、テルマエロマエⅡ、銀の匙きいろいゾウアフロ田中のDVDを観た。飽きたらず、先ほどハチミツとクローバーを観たし、今日は文庫を二冊買った。

心を豊かにしたかった。いや、したい。

活字というものから離れると、なかなか戻れない。しかし、一度手にすると離れられなくなる。
誰かの体温と同じね。

とにかく、空想の世界と自分の生きている世界を(作品によっては)見比べ、それが力になることも、逆に萎れてしまうこともあるのだけど、ある意味とても充実している。でも、現実が足りなくなるのが難点。
どこにいても、どうしたって、残酷さを伴うのだ。

ポジティブに考えると、そうでなかったときのリスクを思案せずにはいられないし、ネガティブに考えたら底がない。
なにを動かしても手詰まりでなにもかも遮断したくて、でも、もう、わたしには閉じこもる場所がなかった。だから、異次元に逃げている。んだと思う。

だけど、人と会うことは、特に、やっぱり好きだと思う人と会うことは(男女、恋愛感情問わず)大切なんだと改めて思った。
安定している。今は。

わたしはわたしが確かでなくなると、SNSを離脱する。元々、そもそもの自分と線を引いている別の自分が、淋しさや苛立ちやもてあます感情で全く別の忌むべき存在になることを避けるため。わたしがれみを愛せなくなったらお終いだから、そうならないために数日、数週間、数か月かもしれないけれど、殺すようにしている。
生き返ってもすぐ死ぬようではだめなの。可能な限り全快したいの。誰かの一言で打ちのめされるような瀕死で生き返ったって、パーティーはわたしひとりしかいないんだもん、誰も回復してくれない。

過去のトラウマとかなんとかで捻くれてはまっすぐになれないわたしは、選ばれないことをすぐに誰かのせいにしたがるけれど、まずはまっすぐ生きれるよう、自分が変わらないといけない。わかってるんだけどね。すぐ皮肉りたくなるのよあまのじゃく。

書き始めた話は終わりまで行きつくのか全く謎です。
なんのプロットも立ててないので、ごめんなさいね。書けるとき、なるべく、すぐ、書きます。

では。

アイドリング(4)

 翌日は休日だった。目が覚めると、いつも通り彼は床に座って眠っていた。ふう、と溜息を吐きながら彼女はシャワーを浴びた。
 ふくよかではないけれど決して細いとも言えない自分の身体が、彼女のコンプレックスだった。入浴時間は出来るだけ手早く済ませ、どうにか裸を見ないようにしたかった。烏の行水宜しく、ものの10分もすれば彼女はリビングまで戻っている。日に拠ってはドライヤーもしない。身支度、特に人目につかないところへは全く執着がない。
 しかし、何故だか生理の時は身綺麗にしておきたくなる。毛抜きで、しかめつらのまま、鏡と格闘しながら、兎に角、抜く。お陰で翌日は肩凝りが酷くなる。しかし腕を真っ直ぐに上げた時のざらつきの無さはその痛みを遥かに超える達成感、彼女は一言も喋らずに抜き続ける。抜き終えると、次にペディキュアを塗りたくなり、塗り終わると、眉を整え、整えると、化粧をしたくなる。彼女が脇の毛を気にした時間が例え何時であろうと、順序をもって辿り着けば、夜中の3時にきっちりした化粧が仕上がる。それでひと月のリセットが完了する。剥がれ落ちる胎盤と共に一度死に、生まれ変わった気分になるのだ。
 「あっ…」と彼女は無意識に声を漏らした。体液が太ももを伝った。生理でもないし精液でもない其れは、未だに何と呼んで良いのか判らない存在だった。恐らく周期からすると卵子だろう、と彼女はうっすらと考えていた。排卵している。なんて、動物的な感覚だろう。
 「気持ち悪。」

アイドリング(3)

 その晩、彼らは深く愛しあった。とでもいけば話も美しいが、実際は二人ともいつものように眠った。彼女はシングルのベッドで、彼は最初はそこにいるのだが、必ず途中で床に座りなおして眠る。狭さも落ち着かないし、彼女の体温も落ち着かない。ひんやりした床と、ぼんやりした頭が自分の膝を中心にしなだれかかるのがなんとも気持ち悪く、心地良かった。彼女の方はというと、そのせいで毎朝罪悪感に苛まれる。彼が好きでそうしてるといくら言っても、ベッドに埋もれて暖かく眠るという幸せが万人に通じないわけがない。自分のせいで、彼がそうなってしまっているという感覚が抜けないのだ。それは、一種の傲りにも似ていたが、彼女がそれを自覚することはなかった。彼女だけではない、世の中の大半の人間が、自分の幸せを他人の幸せと並べ、比較し、優劣の中で生きている。極ありきたりで、極当たり前なこと、世の常でしかない。
 二人は此処で寝食をともにしているが、身体を重ねることは殆どなかった。恋人と言っていいのかよくわからなかった。お互い、好きであることは確かだった。だが、好きの出処も、好きの在処も、よくわからないのである。お互いが求め合ってまぐわうことは皆無に等しかった。どちらかの欲求が周期的に高まったとき、どちらかがどちらかの欲を満たすことに貢献している、といったような関係性だった。
「しよ」「して」「せんの?」彼女は台詞で端的に性欲を表した。一方彼は満月の夜の狼のように、手つきや目つきや、ともすればもう一目瞭然のシンボルでそれを現した。どちらともなくなだれこむことは、本当に一度もなかった。

アイドリング(2)

 彼はもともと、どちらかといえば寡黙だった。自分の事をベラベラ話すのも、他人の話を頷きながら聞くのも、億劫で仕方なかった。たった一人、彼女の話だけは不思議と受け入れることが出来た。快活でもなく、鬱蒼ともせず、ころころと笑いながら、とりとめなく話す。あっちにあった話がこっちにいったり、そっちにあった話があっちに転がったりはよくするが、とても楽しかった。ただ、それは自分の気の向いた時だけのこと、彼は、聞く気がない時は彼女の話も耳に入れなかった。そういう気性で、変える気もなかった。
 彼女はというと、闇に気を取られている彼の事を疑問に思う以前に、何故自分が彼の隣にいるのかということを何度も疑問に思っていた。しかしそれは闇を思う彼よりももっと難しい問題で、幾ら考えたところで彼女の気が晴れることは一度もなかった。惹かれ合う、なんて体のいい言葉で片付けるには華やかさが足りなさすぎるし、なんとなく、では誤魔化されている。ぴたっと当てはまる言葉には、まだ出会えないでいる。
 潮騒と磯の香りは車の窓を開けていなくとも、幾分か漂ってきた。ざぁん、という不定期なリズムに眠気だけが募る。
「もう帰ろうやあ」
 ドアを少しだけ開けて呼びかけてみる。返事は無い。
「ねえっちゃ、もう、かえろーやあ」
 彼女からの二度目の申し出に、彼は応じた。聞こえない声で、ん。とひと言だけ。広い背中と高い身長は彼の少し深い彫りを更に際立たせた。暗がりでよく見えないが、無精髭が伸びている。運転席に乗り込んだ彼の肩にちょこん、と頭を乗せ、彼女は彼の胸を叩いた。
「なん」
「なんもない」
「なんなん」
「ん、なんもない、喉渇いた」
「なんもなくないやんか」
「コンビニ寄って」
 静かに流れるジャズのボリュームを少しだけ上げて、彼女は10分後には飲み干しているであろう缶コーヒーを思った。ホットの熱すぎる缶が、飲み干すと急激に冷えていく様。温かい時は重宝してちまちま飲んでいく癖に、冷えきった途端びっくりするほど邪魔でしかなくなる。温かい時には気にならなかった糖分も、冷えるとベタベタと缶にまとわりつくようになる、あの感じ。わたしと彼も、そうなるのだろうか。若しくは、我慢しているだけで、最早そうなのか。そうこうしている間に車はコンビニの駐車場に停車した。カフェオレのホットね、と伝え、自分は外に出ないことにした。だってなによりも、冬は嫌い。寒い。

 カフェオレだと伝えたら、彼はレジで作れるタイプのカフェオレを湯気を立てながら持ってきてくれた。あはは、これかー、彼女は笑いながら、ま、これなら、冷めてもはよ捨てたいとは思わんか、とぼそっと言った。彼は不思議そうな顔をしながら、自分は缶のおしるこを飲んでいた。やっぱり、変。彼女は再認識し、口元だけで笑った。何故か、目元には涙を浮かべていた。おしるこを見て、急に未来が見えないことを感じて悲しくなった。

つづく

アイドリング(1)

 「なんでそっち見とるん。」
 彼女は本来であれば苛立っていることをおくびにも出したくなかったが、天気がそうはさせてくれなかった。外は小雨、寒空、暗雲立ち込めていて、尚且つ風は不気味である。
 一方、彼はというと彼女の苛立ちに気付こうともせず、風の向こう側、言い換えると、海の先にある、ネオンばかりを目で追っている。灯りもそろそろ消えようかという時間、昼間は頻繁に往来する船舶も、ちら、ほら、とだけ行き交っている。ネオンを追う、というよりも、ネオンの周りにある闇から目が離せないのだ。手を伸ばせば届きそうで、自分も埋没しているようで、しかしなにがなんなのか絶対にわからないもの。
 はぁ、と彼女は息を吐いた。こうなると彼のタイミング以外には自分が瞳にうつりこむことは不可能であることを識っているからだった。苛立ちを諦め、傘を閉じて車へ戻ることにした。アイドリングのおかげで車中は暖かく、何処かで聴いたことのあるジャズが心地良く響いている。あーしあわせ。そう思って、あのひとはなにをそんなに暗がりを思うのか、ふと頭をよぎったが、思考を止めた。同時に、目を瞑った。

※フィクションです。続きが思い付けば書くし、これで終わるかもしれません。お久しぶりでした。